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George's 15th Anniversary

ジョージの生きる道

Remembering George.

あのGeorge Harrison がこの世を去って、はや15年。

あぁ、Time goes by...

「もう15年!?」と思ってしまうのは、2011年に公開された

Martin Scorsese 監督による名ドキュメンタリィ映画

"George Harrison: Living In The Material World" があったからかもしれません。

*ちょっと(かなり?)長尺ですけれど、とても良い出来かと。

 「栄光も挫折もあるGeorge の生き方を素直に描いている」

 という点においては、良き人生映画とも言えるでしょう。

(下の画像をクリックするとTrailer[予告編]が観られます)

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George は間違いなくぼくのNo.1 Hero です。

でも、そう(自然と)思ってしまうのはなぜなのか、

正直に告白すると、ぼく自身にもよくわかりません。

例えば、同志たちと言える同じく元The Beatles の

John Lennon やPaul McCartney の方が、どう贔屓目にみても、

音楽的に素晴らしかったり、その行動力や振る舞いも

見事なことが明らかです。どうやっても勝ち目があると思えません。

George が、そんな偉大なふたりの陰に埋もれてしまうのも当然のことでしょう。

ただ、かれはそんな状況下にあっても「あきらめる」ことをせず、

「皮肉屋」とも言われるユーモア精神を持ち続けて、

じぶんの才能を開花させるまでに至ったという経緯は

あまりにも素敵すぎて、とても眩しく感じます。

それを象徴する曲が「友人のEric Clapton の家の庭でくつろいでいるときに

ふと作った曲」とされる'Here Comes The Sun' です。

この曲は、The Beatles 時代の終わりに発表されており、

「長く続いた冬の季節がようやく去り、

 太陽の光があたたかく射す季節がやってきた」喜びを唄っているのですが、

きっとここにGeorge 自身のThe Beatles という大きな存在の中で、

じぶんを開花させられる時期が来た手応えをつかんだことを

重ね合わせたのではないでしょうか。

1970年にThe Beatles が解散すると、George はそれまでに蓄えていた作品と

あたらしく作ったものを一気に世の中へ解き放ちます。

それが名盤の誉れ高いアナログ3枚組アルバム"All Things Must Pass" です。

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そして翌年1971年、Rock 史上初のチャリティ コンサートと言われる

"The Concert for Bangladesh" を主催し、かれの音楽活動はピークに。

しかし、その後かれの音楽活動は徐々に下降していきます。

もちろん、よい作品や曲なども随所に産み出すのですが、

それまでのクォリティを超えることは難しかったようです。

(最初のソロ シングルで大ヒットした'My Sweet Lord' が

 盗作疑惑を受け、敗訴するという出来事も)

また、初の全米トゥアーを1974年に行いましたが、

当時のマスコミやメディアからは相当な酷評を受け(個人的には好きです)、

徐々に表舞台から遠ざかっていくようになります。

... とはいえ、自身のレーベルDark Horse を立ち上げたりしています。

John Lennon の衝撃的な死(1980年)を乗り越え、

1982年にはトロピカル ムードが溢れ、その後のいわゆるワールド ミュージックにも

通じるようなアルバム"Gone Troppo" をリリースしますが、

U.S. チャートでは最高100位圏内にさえも入れず、

なんとU.K. ではチャート インさえしなかった、とか。

このあたりで、かれは音楽ビジネスの世界から「足を洗おう」と、

ほぼ決めかけたそうです。

でも、かれには「(George を)なんとかしてあげたい」と思ってくれる

仲間や友人たちがたくさんいたのです。

そのひとりが、The Beatles のフォロワーとしても有名な

E.L.O. (Electric Light Orchestra) のリーダー、Jeff Lynn(ジェフ リン)。

「あたらしいアルバムを作ろうよ」とGeorge のプロデューサーを努めることに。

そうして産まれたのが、劇的な復活作として有名な"Cloud Nine" で、

全米No.1 ヒット'Got My Mind Set On You' も産み出すオマケ付き。

George の存在にふたたび脚光が当たり始めることになります。

また、おもしろいことに、状況が変わるといろんなモノゴトが

良い方へ向かっていきますね。

前述のアルバム"Cloud Nine" から3枚目のシングルをリリースするにあたり、

Side B には「未発表の新曲を入れよう」とGeorge は考えます。

その曲を聴いたJeff Lynn とRoy Orbison は

「Side B にこの曲を!? あまりにもMottainai」とGeorge に伝え、

この曲が「もっと生きる」ように仕上げ、シングル リリースする、

そんなアイディアが浮上します。

ただ、レコーディングする場所をどうするか、という問題が。

そこでGeorge はBob Dylan に「きみのStudio 空いてない?」と訊くと、

「だいじょうぶだよ」との返事。また、弟分のTom Petty に貸していたギターを

取りにいったついでに「この曲レコーディングするんだけれど、一緒にやらない?」と。

そして「どうせだからBob (Dylan) も誘っちゃおう」と、Dylan の参加も決まり、

バレバレの(笑)覆面バンドTraveling Wilburys が誕生します。

そのJeff Lynn が"Mottainai" と言った曲が、この'Handle With Care' という

なんともすばらしい名曲!

歌詞がとっても良いので、ぜひじっくり読むことをお薦めします。

英語の勉強にもなり一石二鳥!

その後、Bob Dylan の"30th Anniversary Concert" に出演したり、

Roy Orbison, Tom Petty, Jeff Lynn をはじめ、いろんなレコーディングに参加したり、

精力的な活動ぶりを見せます。

1991年にはEric Clapton に「バックはぼくたちのバンドが演るから、

きみは唄うだけでいい、日本でConcert しないか」と説得され、

まさかの来日公演も実現することに。

当時、日本のファンは世界中からうらやましがられたそう。

その後は、自宅のフライヤー パーク(広大な敷地を持つお城)で

暴漢に襲われる事件があり、それも健康に影響したらしく、

2001年11月29日 Pass away の一報が。

当時のぼくは、ある程度事前情報で覚悟はしていたものの、

亡くなった事実を知ると、まったくなにもする気になれず、

そっと家路につき、その日なにをしたのかまったく覚えていません。

しかしながら、かれの人望はほんとうに厚かったようで、

冒頭に書いた映画"George Harrison: Living In The Material World" でも

そういう側面が描かれていますが、

亡くなった翌年、Eric Clapton の呼びかけで"Concert for George" という

チャリティ コンサートがEngland のRoyal Albert Hall で開催されます。

息子のDhani くん(George の若いころにそっくり!)も参加で必見。

最後まで観ると、じわじわ感動しますよ。

人生に紆余曲折はつきもの。

どんなひとにも、多かれ少なかれ、良い時期も、良くない時期もあります。

そういうことをぼくに最初に感じさせてくれたのが、George Harrison。

初めてかれのことを知ったときは、Lead Guitarist という立場、

ユーモア センス溢れる言動、そしてルックスを含めた「かっこよさ」から

好きになったのですが、その後、かれのThe Beatles 時代の苦労やソロ活動での

浮き沈みがあった事実を教えてくれたことが、ぼくを虜にしたのでしょう。

そんなことを思い出しながら、2016年のかれの命日を過ごすことに。

All things must pass away.

「どんなものも過ぎ去っていく運命にある」 意訳:マーサ)

Rest in Peace, George. Nov. 29, 2016